皆さんは『リウマチ』と言う病気に どの様なイメージをお持ちでしょうか?

 とっさに「痛い、痛い」と言っていつも寝ていたおばあさんの姿や変形して動かせない関節を思い浮かべたり、「一生治らない」「寝たきり」等の言葉を連想する人もいるでしょう。

 確かに今から10年以上前までは、リウマチ専門医でも患者さんの行く末(予後)に暗い思いを抱く事が多かったのですが、それ以後臨床免役学の目ざましい発達によりリウマチの病態が少しずつ解明され、治療薬の開発も進んで急速に進展する事はかなり少なくなりました。今回はその『リウマチ』の最近の姿をご紹介しましょう。

 まず『リウマチ』とは一体どの様な病気でしょうか?

 正式には『関節リウマチ/Rheumatoid Arthritis(RA)』と言い、一般に「リューマチ」「ロイマチス」等と呼び慣らされている病気は、変形性関節症や運動による障害などRAとは無関係な病気がほとんどです。RAはリウマチ性疾患(いわゆる膠原病)の代表的な病気です。リウマチ性疾患とは「主に関節・軟部組織の疼痛を主体とする疾患」と定義されていますが、その中でRAの含まれる『自己免疫性疾患』と言う人体の免疫異常による疾患群があり、他に全身性エリトマトーデス・進行性全身性硬化症(強皮症)・皮膚筋炎等が含まれます。

 これらの疾患の病変の主な場所は動脈で「血管炎」を起こす為 症状が全身の臓器に病変が及び、特に動脈の多い腎臓・肺臓・皮膚等が侵されるので 関節病変が目立つRA以外のリウマチ性疾患はほとんど内科系のリウマチ専門医が診ているのが現状です。RAも本当は全身の病変を常にチェックする為に 内科系の医師が整形外科の医師と協力しながら 主体的に診療するのが望ましいと思います。

 そのRAの初発症状はやはり関節症状が最も多く、手足の小関節のこわばりや自発痛がよく目立ちますが、全身倦怠感やこわばり・微熱等の全身症状も伴われ、「風邪の初期の様だ」と言う患者さんも多いです。ただ以上の様な症状だけでは 中々RAとは診断できません。そこでRAを疑った医師の多くは血液検査を行い、血中のリウマチ因子を測定しますが、残念ながら初期の時点では多くの患者さんが陰性反応と出てしまいます。 その為「もう少し抗炎症剤(「痛み止め」と言われる時も有る)だけで、様子をみましょう」と言う事が多くなります。そこで受診して注意深く経過を観察していれば良いのですが、「単なる使い痛み」や他の慢性関節炎と思い込み、受診しなくなる患者さんがいるのは残念な事です。

 と言うのは 私達医師が病気を診断する時「診断基準」を使う事があります。これはいくつかある項目のうち患者さんの症状が満たす数で判断しますが、RAの場合現在の頻用されている診断基準を確実に満たした時には すでに関節破壊がかなり進行している場合も有ります。そこで将来変形をきたす様な関節破壊が余り起こらないうちに診断をつけ、早めに抗リウマチ剤で治療を開始する為に「早期RAの診断基準(案)」を使う専門医が増えて来ました。ただしこの診断基準だとRAで無い疾患も約15%紛れ込む可能性もありますので、熟練した専門医(リウマチ認定医など)を受診した方が良いかもしれません。現在使われている抗リウマチ剤では完全に関節破壊を止める事は出来ませんが、ステロイド剤や免疫抑制剤の小量投与・生物製剤点滴投与も含めて幾つかの薬剤を組み合わせるとかなりの効果を上げる事が出来ます。それが最近RAの予後が改善して 変形をきたさず軽症のままで経過する患者さんが多くなって来た大きな要因と言えましょう。

 そこで「もしかしたらリウマチではないか?」と心配している方々に申し上げます。

 かかりつけ医がいる方はその先生からリウマチ専門医を紹介してもらいましょう。いない方は各地域のリウマチ友の会やリウマチ学会に連絡して地域の専門医を紹介してもらうのが良いと思います。

 また機会がありましたら、もう少しRAや近縁疾患について詳しくお話したいと思います。

田内内科医院  田内 美津子